子供が中国留学へ行くのに不安な保護者の方へ:中国留学は危険?経験者が教える5つのリスクと具体的な対策

中国留学ブログ
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北京外国語大学 国際商学部4年。22歳純日本人、中国政府奨学生。

学生会会長や大学の広報大使として、イベント企画・SNS運営・国際交流活動を行う傍ら、コンサルティング会社で市場調査やデータ分析を経験。

日本語・中国語・英語を使いこなし、中国留学に関する体験談や現地情報を発信中。SNSにて、留学に関する相談も受け付けています。

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「中国に留学したい」とお子さんから言われたとき、嬉しさよりも先に不安が来た——そんな保護者の方は多いと思います。

治安は大丈夫?大気汚染は?反日感情は?ネット規制って何?こういった疑問が次々と浮かんでくるのは、まったく自然なことです。日本ではどうしても中国に対してネガティブな報道が多いので、実態がわからないまま不安だけが大きくなってしまいますよね。

僕は純日本人として中国の大学に3年間通っていて、良い面も悪い面も実際に経験してきました。この記事では、そんな僕の実体験をもとに、保護者の方が感じやすい不安をひとつずつ取り上げて、「実際どうなのか」「どう対策すればいいのか」を具体的にお伝えしていきます

先に結論を言うと、リスクはあります。でも、事前に知って準備すれば対処できるものがほとんどです。 そして、リスク以上に得られるものが大きいというのが、僕が3年間中国で生活してきた正直な実感です。

まず結論:リスクはある。でも「準備すれば対処できる」ものが多い

中国留学にリスクはあります。ゼロではありません。

ただし、ほとんどのリスクは「事前に知っていれば対策できるもの」です。保護者の方が感じている不安の多くは、情報不足不確かな情報からくる過剰な心配が原因です。具体的な情報を得るほど、漠然とした不安は小さくなっていきます。

この記事では、保護者がよく感じる5つの不安——安全・健康・教育・生活・文化——をひとつずつ取り上げて、「実際はどうなのか」「どう対策するか」の順で整理していきます。

不安① 安全・治安(政治・反日感情を含む)

1. 実際の治安はどうなのか

北京や上海などの大都市における一般犯罪の発生率は、世界的に見てもかなり低い水準です。その背景には監視カメラの多さキャッシュレス決済の普及があります。誰がどこで何をしたかが記録される仕組みが整っているため、犯罪を行っても特定されやすい環境になっています。

僕自身、外のカフェで作業しているときに、ノートパソコンを机に置いたままトイレに行くことも普通にあります。日常生活の治安の良さは、実際に住んでみて強く感じています

2. ただし「日本人であること」のリスクは別にある

日中関係が緊張する時期には、公共の場で日本語を話すことで不快な目を向けられたり、トラブルに発展することがあります。僕自身も反日感情の強い人から暴言を受けた経験がありますし、路上で日本人が殴られたという話を聞いたこともあります。頻繁に起きることではありませんが、「ゼロではないリスク」として知っておく必要があります。

3. 具体的な対策

  • 日中関係のニュースが出ているときは、公共の場での日本語会話を控える
  • SNSで「自分が日本人であること」を強調した発信は控える
  • 言い争いになりそうな場面では、その場を離れることを最優先にする
  • 政治的な議論には参加しない
  • 在中国日本国大使館・総領事館の緊急連絡先大学の国際部の連絡先保険の24時間日本語サポート番号を必ず控えておく
  • 深夜の単独行動、過度な飲酒、見知らぬ人との不用意な関わりを避ける

留学前には「大学がどの都市にあるか」「寮の管理体制はどうか」も必ず確認してください。お子さんの性格との相性も考慮し、家庭内で話し合う機会を持つことが大切です。

治安や反日感情についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてお読みください。

不安② 健康・環境(大気汚染・黄砂・PM2.5)

1. 実際の大気汚染の状況

「中国の大気汚染」と聞くとスモッグの映像を思い浮かべる方も多いですが、10年ほど前と比べて状況は大きく改善されています。僕も1年生のとき、AQI(大気質指数)が500を超えた日を一度経験しましたが、そのような日は年間でも数えるほどです。普段は青空が広がっていることも多く、「昔の中国のイメージ」で判断せず、今の状況を正確に知ることが大切です

2. 具体的な対策

AQI(大気質指数)の目安と対応:

  • AQI 0〜100:通常通りの外出が可能
  • AQI 100〜150:長時間の外出時はマスクを着用する
  • AQI 150以上:不要な外出は控え、外出時はマスク必須
  • AQI 200以上:屋内にとどまることを優先する

iPhoneの天気アプリを使えば、その日その場所の空気の状態をリアルタイムで確認できます。数値に応じた行動ルールを家庭であらかじめ決めておくと、お子さん自身が判断しやすくなります。

不安な場合は空気清浄機を購入すると良いです 寮の部屋に置くだけで室内の空気の質はかなり改善されます。体調が悪くなったときに慌てないよう、「学内の診療所 → 近隣の大病院 → 加入保険への連絡」という3段階の流れも事前に確認しておきましょう。

喘息やアレルギーなどの持病がある場合は、留学前に主治医に相談し、現地での薬の管理方法も含めて準備してください。北方・内陸の都市(北京・西安など)は冬の大気汚染が深刻になりやすいので、志望する留学先の地域の気候・環境も事前に調べておくことが大事です。

渡航前に必要な予防接種については、こちらの記事で詳しく解説しています。

不安③ 教育・学習環境(質・言語・就活)

1. 実際の学習環境について

中国の学生は高考(ガオカオ)に向けて長期間猛勉強しており、入学後も大学院進学を目指す学生が多く、図書館や自習室は深夜まで利用者が絶えません。日本の大学でよく見られるような「とりあえず単位が取れれば良い」という雰囲気とは違い、学習への意欲が高い学生が多い環境です。質の高いビデオ講座も無料で公開されていて、勉強したい学生にとってはいくらでも学べる環境が整っています。そのほかに、QS世界大学ランキングのアジアトップ10の大学にも中国の大学が3校ランクインするなど、学術界での中国の影響力は年々強まっています。

2. 具体的な対策

留学前の準備:

  • 発音(ピンイン)の基礎を固める(後から修正するのが難しいため、最初の段階で正確に)
  • HSK5〜6級程度の語彙・文法を身につける
  • 日常会話で使う基本フレーズを声に出して練習する

現地での学び方:

  • 授業後に教授に質問に行く習慣をつける(積極的な学生はどの国でも評価されます)
  • グループワークに積極的に参加して、人間関係を築く機会にする
  • 中国人の同級生と「語学交換パートナー」の関係を作る(中国語の上達に直結します)

就職活動について: 学位の名称よりも大切なのは、留学中に何を経験し、そこから何を学んだかを自分の言葉で話せるかどうかです。留学中から「なぜこの選択をしたか」「この経験から何を得たか」を言葉にする練習をしておくと、帰国後の就活で大きな差になります。

留学の目的を出発前に家庭内で明確にしておくことも大事です。「中国語を実践レベルで身につけたい」「学位を取得してキャリアに活かしたい」「異文化の中で視野を広げたい」——目的がはっきりしていないと、現地で「自分はここで何をすべきか」がわからなくなるケースがあります。

留学の形態選びで迷っている方には、こちらの記事がおすすめです。

不安④ 生活(住環境・生活費・ネット規制・医療)

1. 寮の住環境について

住環境は、日本と同じ水準を期待しないほうがいいです。お風呂場に虫が出ることもありますし、トイレが和式だったり、水回りの清潔さが日本の基準には届かない場面もあります。「日本よりも衛生面で不便なところがある」という前提で準備しておくほうが、精神的な負担が少なくなります。 慣れるまでに1〜2ヶ月かかることが多いですが、最初から環境を整える準備をしておくことで、その期間をぐっと短くできます。

寮生活の必需品: 防虫スプレー・置き型防虫剤、スリッパ、除菌シート・消毒液、小型の空気清浄機、延長コード

寮の部屋タイプの選び方については、こちらの記事で詳しく比較しています。

2. 生活費・ネット規制・医療

生活費の目安: 食費・交通費・娯楽費を合わせて月5〜8万円程度です。支出が増える主な原因は外食・旅行・ショッピングなので、月ごとの上限金額を家庭であらかじめ決めておくことをおすすめします。

生活費や留学全体の費用について、さらに具体的な数字を知りたい方はこちらをご覧ください。

ネット規制について: 中国ではGoogle・YouTube・Instagram・LINEなどにアクセスできません。日常の不便さだけでなく、学業面でもGoogle Scholarが使えない影響があります。百度・WeChat・中国語の学術データベースなど、利用可能な代替手段を事前に把握しておきましょう。

VPNの選び方や設定方法については、こちらの記事で実際に使ったものを比較しています。

医療について: 規模の大きい大学には学内に診療所がありますが、症状が重い場合は外部の大病院を受診する必要があります。日本語が通じることはほとんどないので、基本的な症状を中国語で伝えられるように練習しておくことと、海外留学保険への加入は必須です。

「寮の環境に多少の不便があっても受け入れられるか」はお子さんの性格によって差が出ます。逆に「多少のことは気にしない」タイプの方は、同じ状況でも楽しく過ごせます。

また、スマートフォンの設定・WeChat Pay・Alipay・SIMカードの手配は中国での生活基盤になります。渡航前に済ませておくと、現地での最初の1週間がかなりスムーズになります。

渡航前に準備しておくべき生活インフラについては、以下の記事もあわせてご確認ください。

不安⑤ 文化・社会(価値観・表現の自由・人間関係)

政治的な発言は、ネット上でも日常会話でも気をつける必要がある——これが現状です 日本では普通にできる発言が中国では問題になることがあります。知らないまま行動すると、周囲の中国人の友人に迷惑をかけてしまう可能性もあります。「そういうルールの国で生活する」という認識を持ったうえで行動することが大切です。

具体的な対策:

  • 政治・宗教・民族に関する内容をSNSに投稿しない
  • 歴史認識・領土問題など対立しやすいテーマについて現地で議論しない
  • 中国のSNS(WeChat・Weibo等)と日本向けのSNS(X・Instagramなど)で発信する内容を意識的に分ける

人間関係の作り方: 文化の違いがある前提で、その違いを否定せずに接することが大切です。「日本ではこうなのに」という比較の姿勢が強すぎると、関係がうまくいきにくくなります。「食べ物」「音楽」「将来の目標」「旅行」など、お互いが話しやすい話題から関係を作っていくのがおすすめです。

それでも中国留学で得られるもの(僕の実体験から)

ここまでリスクと対策を正直にお伝えしてきました。ここからは、リスク以上に大きいと感じている「中国留学で得られるもの」もお伝えさせてください。

1. 周りの目を気にしすぎなくなる

僕は高校生のとき、通学の電車やバスの中でパニック障害の症状が出るほど他人の目を気にする性格でした。中国で生活する中で、周囲の目を気にせず自分のペースで行動している人たちに日常的に触れていると、自分自身も少しずつ変わっていきます 気づいたころにはパニック障害の症状が改善されていました。「他人は思っているほど自分のことを見ていない」という感覚が、生活の中で自然に身についていったんだと思います。

2. 臨機応変に対応できる力がつく

中国は変化が速い国です。前日に言っていたことが翌日には変わっていることも珍しくありません。そういう環境で生活し続けると、予定外のことが起きても「じゃあ今どうするか」を考える習慣が自然に身につきます 多少トイレが汚かったり、虫が出たりしても大丈夫になります(笑)。これは社会に出てからも役立つ力です。

3. 自分の目で世界を確認できる

日本にいると中国の情報はメディアを通じてしか入ってきません。そのイメージと現地での実感には大きなギャップがあります。このギャップを自分の目で確認する経験は、「自分が知っていることは世界の全てではない」という認識につながります これは中国に関することだけでなく、あらゆる物事への見方に良い影響を与えます。

4. 中国語で広がる世界と人脈

中国語は世界で最も話されている言語のひとつです。中国人は世界中にいて、中国語が通じる地域はアジアを中心にとても広い範囲に及びます。世界のどこに行っても中国語でコミュニケーションが取れる機会があるというのは、実際の行動範囲を広げてくれます。 さらに中国語ができると、日本語・英語だけでは得られない学術論文・ニュース・各種情報に直接アクセスできるようになります。

また、留学中に出会う中国人の同級生や世界各国の留学生は、10〜20年後にそれぞれの分野で活躍している可能性があります そういった人間関係を若いうちから作れるのは、留学の大きなメリットです。

5. 英語力も伸びる

中国留学で最も使う言語はもちろん中国語ですが、今の中国の大学には世界各国からの留学生が集まっています。他の国の留学生との日常的な交流や、国際的なプレゼンテーションの場など、英語が必要になる場面が自然に多くあります そういった機会を重ねることで、英語力も実用的なレベルで伸びていきます。

6. 「専門分野×中国語」がキャリアの武器になる

中国語が話せるだけでは差別化になりませんが、「特定の専門分野×中国語」の組み合わせは大きな強みです IT・国際貿易・観光・教育・金融などの領域で実力を持ちつつ中国語も使えることで、希少な人材になれます。日中間のコミュニケーションを担える人材の需要は高まっている一方で、中国語を実践レベルで話せる日本人はまだ少数です。だからこそ、大きな武器になります。

留学前に家庭で決めておく5つのルール

どれだけリスクの内容を理解しても、お子さんが遠い国にいる間は心配が続くと思います。だからこそ、心配を「具体的な準備と仕組み」に変えることが大切です 以下を出発前にお子さんと一緒に決めてください。

  1. 緊急連絡ルール:家族間の連絡頻度(例:週1回は音声通話)、大使館・大学・保険の緊急連絡先を具体的にリスト化する
  2. 健康ルール:AQIの基準値と行動ルール、受診の流れ、常備薬リスト、持病がある場合の薬の管理方法を決める
  3. お金ルール:月の生活費上限を設定、緊急時の予備資金の管理方法、緊急帰国費用を確保する
  4. 発言ルール:SNSでデリケートな発言をしない、トラブル時は自分だけで判断せずまず保護者か大学に連絡する
  5. 学習ルール:学期ごとの最低限の目標、学習状況の報告頻度、うまくいかないときの相談先を共有する

「何かあったら連絡して」だけでは不十分です。「何かあったとき、誰に、何番に電話するか」まで具体的に決めておくことが重要です。

まとめ:リスクはゼロにはならない。でも準備はした方が良い。

リスクはゼロにはなりません。これはどの国への留学でも同じです。

ただ、この記事を読んだことで、「中国留学のリスク」が漠然とした不安ではなく、それぞれ具体的な内容と対策がわかるものになったのではないでしょうか 内容がわかれば、対策が立てられます。対策が立てられれば、不安は小さくなります。

お子さんを送り出す前に現実を把握し、対策を一緒に考え、具体的なルールを決めておいた家庭は、何かが起きたときの対応が早く、親子間の信頼関係も保ちやすくなります。

そして何より、中国留学で得られるものは本当に大きいです。語学力、国際的な人脈、臨機応変に動ける力、日本にいるだけでは得られない視野の広がり——これらはすべて、お子さんの将来にとって大きな財産になります

保護者の方へ:

心配することは、お子さんへの愛情そのものです。でも、その心配を「行かせない理由」にするのか、「安全に行かせるための準備」に使うのかで、お子さんが得られる経験は大きく変わります。不安を感じながらも準備を整えて送り出してくれた親の存在は、お子さんにとって大きな支えになります それは帰国後のお子さんの言葉から、きっと伝わるはずです。

お子さんへ:

自由には責任が伴います 心配してくれている家族がいることを忘れず、決めたルールを守りながら、現地での生活に全力で取り組んでください。その経験は、間違いなくあなた自身の財産になります。

留学準備を何から始めればいいかわからないという方は、エージェントの利用を検討してみるのもひとつの方法です。

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