安全に中国留学をするために気をつけるべきこと!法律や注意しなければならない日、対策まで

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この記事を書いた人

北京外国語大学 国際経済与貿易学部3年。21歳純日本人、中国政府奨学生。

学生会会長や大学の広報大使として、イベント企画・SNS運営・国際交流活動を行う傍ら、コンサルティング会社で市場調査やデータ分析を経験。

日本語・中国語・英語を使いこなし、中国留学に関する体験談や現地情報を発信中。SNSにて、留学に関する相談も受け付けています。

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こんにちは、トモキです!

この記事を見てくださる方は、中国や中国留学に興味がある人が多いと思います。中国留学では、語学をマスターしたり、日本ではできない文化体験をしたり、将来の夢に繋がる素晴らしい経験があなたを待っています。

ただ、その価値ある時間を安全に過ごすには、今の中国の状況を少しだけ知っておくことが大切です。近年、留学生や日本人が気をつけるべき点がいくつか出てきました。

この記事は、あなたの中国での留学生活が安全で、そしてより良いものになるように、最新の情報を基に作成した「安全のためのお守り」のようなものです。少しだけ真剣な話もしますが、中国という国で生活する上で大切なことです。

特に知っておいてほしい3つのポイント、①身の安全を守るための対策、②「スパイ」と間違われないための法律知識、③うっかり話すとトラブルになるかもしれない話題について、分かりやすく解説していきます。ぜひ最後まで読んで、万全の準備で留学に臨んでください。

自分の身は自分で守る!最新の安全事情と対策

まず一番大切なのは、あなたの身の安全です。最近、残念ながら日本人を狙った事件が起きており、これまで以上に注意が必要になっています。これは脅かすためではなく、事実を知って正しく備えるための情報です。

1. 最近起きた事件について

2024年、中国に住む日本人コミュニティに大きな衝撃を与えた2つの事件がありました。

  • 蘇州での襲撃事件(2024年6月24日): 日本人学校のスクールバスを待っていた日本人の親子が、刃物を持った男に襲われる事件が発生しました。この時、バスアテンダントの中国人女性が身を挺して子どもたちを守りましたが、残念ながら亡くなってしまいました。
  • 深圳での殺害事件(2024年9月18日): 日本人学校に通う10歳の男の子が、お母さんと一緒に登校している途中で男に刺され、命を落としました。

中国の当局は「たまたま起きた偶発的な事件」と説明しています。しかし、深圳の事件が起きた9月18日は、歴史的に日本との関係で非常に敏感な日(柳条湖事件の記念日)であったこと、また、被害者が日本人学校の生徒だと分かりやすい状況だったことなどから、日本人を狙った可能性も考えられています。

2. 今日からできる!日常生活での安全対策

これらの事件を受けて、現地の日本人学校では警備を強化するなどの対策を取っています。私たち一人ひとりも、日々の生活で以下のことを心がけることが、自分を守ることに繋がります

  • 周りをよく見るクセをつける: 外を歩くとき、特に通学路や日本人がよく行くエリアでは周りの様子に気を配り、「何か変だな」と感じる人がいないか意識する習慣をつけましょう。
  • 「日本人です」とアピールしすぎない: もちろん日本人であることに誇りを持つのは素晴らしいことですが、安全のためには少し控えめに行動するのが賢明です。公共の場所で大声で日本語を話したり、日本の国旗が書かれた服などは避けましょう。
  • 「たびレジ」や「在留届」に必ず登録する: これはマストです!日本の外務省が提供しているサービスで、3か月未満の滞在なら「たびレジ」、3か月以上なら「在留届」に登録しましょう。現地の最新の安全情報がメールで届いたり、万が一の時に安否確認をしてもらえたりする、大切な命綱です。
トモキ
トモキ

まずは、外務省のサービス登録から始めましょう!

知らなかったでは済まされない!「反スパイ法」の落とし穴

次に、少し難しいけれど非常に重要な法律の話です。中国では、自分では全くそのつもりがなくても、「スパイ」と疑われてしまうリスクがあります。特に2023年に内容が更新された「反スパイ法」は、留学生の皆さんにも関わってくる可能性があるので、しっかり理解しておきましょう。もちろん、通常通り生活している場合は、特に注意は必要ないです。

1.「スパイ行為」って、いったい何?

新しい反スパイ法では、「国の安全や利益に関わる書類やデータ、モノ」を許可なく集めたり、誰かに渡したりすることが「スパイ行為」とされています。

ここでの一番の問題は、「国の安全や利益」という言葉が、具体的に何を指すのかハッキリ決められていないことです。つまり、当局の判断次第で、とても広く解釈できてしまうのです。この法律ができてから、少なくとも17人の日本人がスパイ容疑で拘束されています。

トモキ
トモキ

留学生が拘束される可能性はとても低いので、過度に心配する必要はありません!

2. 留学生が特に注意したい行動リスト

「まさか自分が」と思うような、ごく普通の行動が疑いのきっかけになることもあります。

  • 写真撮影: 軍事施設や政府の建物、港、大きな橋などのインフラを撮影するのは絶対にやめましょう。また、デモや警察の活動などを興味本位で撮影するのも非常に危険です。過去には、軍事施設を撮影したとして元留学生が有罪判決を受けたケースもあります。地方都市では、空港が軍用の場合があり、滑走路などを撮影することが禁止されています。
  • アンケートやインタビュー: 卒業論文やレポートのために、街頭でアンケートを取ったり、人々にインタビューしたりするのも注意が必要です。許可なく社会調査を行うと、違法な情報収集と見なされる可能性があります
  • 古い地図や本の扱い: 古本屋などで見つけた古い地図に、現在の中国の国境線と違うものが描かれていたり、政治的に敏感な内容が書かれた本を持っていたりしただけで、日本人が拘束されたことがあります。
  • GPS機器の使用: スマホの地図アプリは問題ありませんが、専用のGPS機器などを許可なく使うことは法律で禁止されています。

3. スパイと疑われないための心構え

  • 危ない場所には近づかない: 軍の施設や国境エリアなど、誤解を招きそうな場所には、好奇心から近づくのはやめましょう。
  • 調査活動は先生に相談: もしレポートなどで現地調査が必要になったら、必ず大学の先生に相談してください。正しい手続きを踏めば、問題なく活動できます。
  • アプリでの会話に気をつける: WeChatなどの中国製アプリでのやり取りは、すべてチェックされている可能性があると考えておきましょう。政治に関する話など、デリケートな話題は避けるのが無難です。

うっかり話すと大問題に?中国での会話で気をつけたい話題

中国の人々と交流するのは、留学の大きな楽しみの一つです。しかし、文化や社会が違うため、日本では普通に話せる話題が、中国では非常にデリケートな問題になることがあります。良かれと思って話したことが、相手を困らせたり、思わぬトラブルになったりしないよう、少しだけ心に留めておきましょう。

1. 要注意!反日感情が高まりやすい「敏感な日」

日中間の歴史には、残念ながら悲しい出来事もありました。それに関連する特定の日には、中国国内で反日感情が高まることがあります。最近は、昔のように大きなデモは少なくなりましたが、個人からの嫌がらせや突発的なトラブルのリスクはゼロではありません。以下の日付の前後は、特に静かに、目立たないように過ごすことをお勧めします。

日付名称なぜ敏感なの?
5月4日五四運動記念日1919年に起きた抗日・反帝国主義運動の日
7月7日盧溝橋事件記念日1937年の日中戦争が本格的に始まった日
8月15日抗日戦争勝利の日日本が降伏した日で、中国では勝利の日とされています
9月18日柳条湖事件記念日1931年の満州事変の発端となった日で、「国恥の日」とも呼ばれます
12月13日南京事件追悼日1937年の南京占領に関連する追悼の日

どう過ごせばいい?: 一番安全なのは、これらの日には不要な外出を避けることです。もし外出しなければならない場合は、日本食レストランなど日本を連想させる場所や、人が多く集まる繁華街は避けた方が良いでしょう。外務省から注意を呼びかけるメールが届くこともあるので、必ずチェックしてください。また、これらの日に中国のSNS投稿をすることも避けた方が良いです。

2. 会話でのNGトピックリスト

中国では、政治や特定の歴史に関する話題は非常にデリケートです。特に、中国共産党に対する批判は絶対的なタブーとされています。

  • 中国共産党や国のリーダーについての批判: 最も避けるべき話題です。
  • 「3つのT」と人権問題: 天安門事件チベット問題、台湾問題。そして、新疆ウイグル自治区や香港に関する人権問題も非常に敏感です。
  • 特定の歴史的・政治的事件: 文化大革命など、中国政府の公式な見解と異なる意見を言うこと。
  • 領土問題: 尖閣諸島(中国では釣魚島と呼ばれます)についての話。
  • 宗教の話: 習近平政権下では、宗教に関する話題もデリケートになっているため、避けるのが無難です。クリスマスやハロウィンも規制の対象になる可能性があります。

これらの話題は、たとえ親しい友人から話を振られたとしても、自分から意見を述べたり、議論を深めたりするのは避けましょう。「そういう考え方もあるんですね」と聞き役に徹したり、うまく別の楽しい話題に変えたりするのが賢明です。

ネットは大丈夫?VPNとSNSの賢い使い方

留学生活に欠かせないインターネット。でも、中国でのネット利用には、日本とは違うルールがあります。

1. VPN利用のホントのところ

日本では当たり前に使っているGoogle、LINE、Instagram、X(旧Twitter)などは、中国では政府の規制によりアクセスできません。そこで多くの留学生や駐在員が使っているのが「VPN」というツールです。

  • VPNって違法なの?: グレーゾーンです。厳密に言うと、中国政府が許可していないVPNの利用は法律違反とされています。
  • じゃあ、使ったら捕まる?: 今のところ、外国人が個人的な目的(日本の家族とLINEで連絡を取る、日本のニュースを見るなど)でVPNを使って逮捕されたという話は聞きません。多くの外国人が利用しているのが実情です。
  • 一番の注意点: VPNを使っているからといって、絶対に中国政府への批判や政治的に敏感な内容をSNSに書き込まないでください。これは非常に危険な行為です。VPNはあくまで、日本の家族や友人との大切なコミュニケーションや、情報収集のために使いましょう。

現役留学生のおすすめVPNはこちらの記事から見れます!

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2. SNSでの発言は慎重に

中国のSNS(Weiboなど)はもちろん、VPNを使って海外のSNSにアクセスしている場合でも、中国に関するネガティブな発言や政治的な投稿は絶対にやめましょう。あなたの投稿は、常に誰かに見られている可能性がある、という意識を持つことが大切です。

もしもの時のために ― 緊急連絡先と対応方法

どんなに気をつけていても、予期せぬトラブルに巻き込まれてしまう可能性はゼロではありません。そんな「もしも」の時にどう行動すればいいかを知っておくことが、あなた自身を助けることになります。

1. この番号だけは覚えて!緊急連絡先

スマホの連絡先に登録したり、メモに書いて財布に入れたりしておきましょう。

  • 警察: 110
  • 救急車: 120 (北京では999も使えます)
  • 交通事故: 122
  • 消防: 119
  • 在中日本国大使館:010-8531-9800

2. 万が一、警察に拘束されたら…

考えたくないことですが、万が一、警察などから事情聴取を求められたり、身柄を拘束されたりした場合は、絶対にパニックにならず、以下の3つを思い出してください。

  1. 「大使館(または総領事館)に連絡してください」と伝える: これはあなたの正当な権利です。落ち着いて、しかし、はっきりと、何度も繰り返し要求しましょう。
  2. よく分からない書類にはサインしない: 特に、内容が理解できない中国語の書類には、絶対にサインをしてはいけません。「領事館の人と話すまでサインはできません」と伝えましょう。
  3. すぐに大学と日本の家族に連絡する: 連絡が許可されたら、すぐに大学の留学生担当の先生や、日本の家族に状況を知らせてください。

3. 滞在中の基本ルール

  • パスポートは常に持ち歩く: 16歳以上の外国人は、パスポートを携帯することが法律で義務付けられています。スマホで撮影したパスポートの写真でも大丈夫です。必ず一枚はスマホに電子版を入れておきましょう。
  • 宿泊登記を忘れずに: 寮やホテル以外の場所(例えば友人の家)に泊まる場合は、24時間以内にその地域の警察署(派出所)に届け出る必要があります。忘れると罰金の対象になることもあるので注意しましょう。

おわりに

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。少し怖い話もあったかもしれませんが、これらはあなたを怖がらせるためのものではありません。留学という素晴らしいチャンスを、最大限に活かし、安全に楽しむための予備知識です。

リスクを正しく知って、賢く行動すれば、中国での日々はあなたの人生にとってかけがえのない宝物になるはずです。

現地の文化や人々への敬意を忘れず、常に「ちょっとだけ慎重に」を心がけて、最高の留学生活を送ってください。もし何か困ったことや不安なことがあったら、一人で悩まず、すぐに大学の先生や日本の大使館・総領事館に相談してくださいね

また、中国留学に関する質問・相談は僕のSNSまでお願いします!

YouTubeもやっているので良かったら見てください!

北京外国語大学 国際経済与貿易学部3年。21歳純日本人、中国政府奨学生。

学生会会長や大学の広報大使として、イベント企画・SNS運営・国際交流活動を行う傍ら、コンサルティング会社で市場調査やデータ分析を経験。

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