こんにちは、トモキです!
今回は、ぼくが北京で生活してきた2年間の経験をもとに「VPNガチレビュー」をします!
これから中国留学を考えている方、現在中国で留学中の方など、多くの人が最初にぶつかるのが「インターネットの壁」じゃないでしょうか。
「日本にいる家族や友達とLINEしたい!」
「インスタで留学生活の様子をアップしたい!」
「調べ物でGoogleを使いたいし、課題のためにGoogle Scholarで論文を探したい…」
これ、全部できません。そう、中国では。
この巨大な壁のせいで、日本では当たり前だったデジタルライフが、ある日突然断ち切られてしまう。この感覚、留学や駐在を経験した人なら痛いほどわかりますよね。だからこそ、僕たち留学生にとってVPNは、単なる便利ツールではなく、勉強や友人関係を維持するための「デジタル生命線」なんです。
巷には「中国VPNおすすめランキング!」みたいなアフィリエイト記事が溢れていますが、この記事は違います。僕が実際に北京で体を張って試してきた、4つのVPNのリアルな体験談です。
- ExpressVPN: 渡航前に「最強」と信じて契約したのに、まさかの…
- カベネコVPN: 安定感とコスパのバランスが最高だった頼れる相棒。
- NTHU.CC: 留学生仲間で知る人ぞ知る、「コスパ最強 VPN」。
- VPNネコ: 無料だけど、本当に「緊急用」でしかない理由。
この記事が、これから中国留学を考えている方、VPNに悩んでいるあなたの役に立てれば嬉しいです!
まず知っておきたい、中国ネットの「壁」の正体
VPNの話をする前に、僕たちが戦っている相手、「グレート・ファイアウォール(GFW)」について少しだけ知っておきましょう。これ、単にいくつかのサイトをブロックしているだけの壁じゃないんです。
1. 「壁」って、一体何者?
グレート・ファイアウォール(GFW)は、中国政府が国のサイバー主権を守るために作った、法律、規制、そして超ハイテク技術が一体となった巨大なシステムです。
その目的はいくつかあります。まず、政府に都合の悪い情報が入ってこないようにして、国内の安定を保つこと。次に、GoogleやFacebookのような海外の巨大IT企業をシャットアウトして、Baidu(百度)やWeChat(微信)といった国内企業を育てること。そして最終的には、中国独自のルールで管理されたインターネットの世界を作り上げることです。
大事なのは、この壁が常に進化しているということ。静的な壁ではなく、新しい「抜け道」が見つかれば、すぐにそれを塞ぐためにアップデートされます。VPNサービス側も、その新しいブロックを回避するために必死で技術を更新する…この終わらない「いたちごっこ」が、VPNの接続が日によって、サービスによって不安定になる根本的な原因なんです。
2. 留学生にとって、なぜこれが大問題なのか?

僕たち留学生にとって、インスタやLINEなどのSNSが使えないのは大問題ですよね!!
実は影響を受けるのは、我々の娯楽だけではありません。学業そのものを脅かす、深刻な障害です。
- 学術ツールが使えない: 世界中の研究者が使っている論文検索エンジン「Google Scholar」が、Googleごとブロックされています。これは、先行研究を調べる上で致命的です。海外大学の公式サイトやオンライン授業のプラットフォームも、アクセスが不安定になることがよくあります。
- 世界からの孤立: ある研究では、GFWによってGoogleがブロックされた後、研究者の論文引用数が減ったというデータもあります。これは、GFWが世界の知識の流れを妨げ、僕たちが最新の研究から取り残されるリスクを示唆しています。
- IT分野への影響: プログラミングを学ぶ学生にとって必須のGitHubも、中国では接続が不安定です。完全にブロックされることは少ないですが、この不安定さが共同作業の妨げになります。
もちろん、中国にもCNKI(中国知网)という巨大な国内の学術データベースはありますが、国際的な研究をする上では、やはり海外のデータベースへのアクセスは不可欠です。だからこそ、僕たちにとってVPNは、学業を続けるための「ライフライン」なんです。

中国の学生や教授も研究のためにVPNを使ってます!
現地留学生のVPN奮闘記:メジャーな選択肢とのリアルな格闘
ここからは、僕が「実際に使ってみたVPNサービス」について、忖度なしのレビューをお届けします。
それぞれのVPNが、中国という特殊な環境でどんな顔を見せたのか、僕のリアルな体験談を交えて紹介します。
1. 世界の巨人:ExpressVPN(「全く使えず、即解約…」)
ExpressVPNは、世界で最も有名で、多くのレビューサイトで「中国に強い!」と絶賛されているVPNの王様的存在です。僕もその評判を信じて、中国渡航前に意気揚々と契約しました。
しかし、2023年に初めて中国に来た時、ExpressVPNは全く使い物になりませんでした。 北京に着いてスイッチを入れた僕を待っていたのは、「接続中…」のまま動かない画面。(当時とても焦りました笑)結局、すぐに解約する羽目になりました。日本国内から他の国へ接続することは問題なくできたのですが、肝心の中国ではダメでした。
- なぜ繋がらないのか?: こちらは僕の予想ですが、おそらく有名すぎるからです。GFWは、ExpressVPNのような人気サービスを優先的に狙い撃ちし、サーバーのIPアドレスを片っ端からブロックしていきます。現在、中国国内で使えるかどうかは不明ですが、僕の経験から言うと、他のVPNを選ぶ方が確実です。
- もし試してみるなら…という話: もちろん、ExpressVPNもただやられているだけではありません。ブロックされたサーバーはすぐに新しいものに入れ替えますし、「難読化」という、VPNの通信を普通のネットサーフィンに見せかける高度な技術を自動で使ってくれます。もし試すのであれば、①アプリを常に最新に保つこと、②プロトコル設定を「自動」にすること、③推奨サーバーに接続してみることが重要です。
- 絶対忘れてはいけないこと: 一番大事なのは、ExpressVPNの公式サイト自体が中国ではブロックされているという事実。つまり、アプリのダウンロード、契約、支払いは、必ず中国に来る前に日本で済ませておく必要があります。 これ、本当に重要なので、覚えておいてください。
2. 日本からの刺客:カベネコVPN(困った時の頼れる優等生)
カベネコVPNは、僕が中国に到着してExpressVPNが使えないと発覚した直後、藁にもすがる思いで契約したVPNです。ExpressVPNのようなグローバル大手とは違い、特に日本と中国の間の接続に特化したサービスで、結果的に僕の留学生活を支える頼れる相棒になりました。
料金、サービス共に満足できる品質で、ネットも比較的安定していました。ただ、全人大(全国人民代表大会)など、中国の政治的に重要な時期には繋がらないこともありました。
- カベネコの強み:
- 抜群の安定感: 中国のネット規制対策を最優先に設計されているだけあって、本当に繋がります。規制が厳しい時期でも、カベネコだけは生き残っている、なんてこともよくありました。
- 安心の日本語フルサポート: 運営が日本の会社なので、問い合わせもトラブル対応も全部日本語でOK。規制が強化された時には、メールやSNSで状況を知らせてくれるなど、この手厚いサポートは海外サービスにはない大きな安心感です。
- 学生に優しい料金体系: 1年プランなら月額480円からと、この性能でこの価格は破格です 31。
- ユニークなポイント制度と注意点: カベネコVPNが面白いのは、料金がポイント制なこと。VPNを使った日数分だけポイントが消費され、使わなかった日はポイントが減らないので、毎日VPNを使うわけではない僕のような学生には、すごく合理的です。ただ、パソコンでの設定が少し複雑だったので、日本で先に契約して、設定まで済ませてから中国に来ることを強くお勧めします。

カベネコVPNはTwitterで最新情報が見れるのも良いところです!
3. 無料の選択肢:VPNネコ(ただし注意が必要)
VPNネコは僕もたまに使うVPNです。今使っている「NTHU.CC」が使えなくなった時の緊急避難用として重宝しています。iOSのアプリストアからすぐにダウンロードして使えるので、手軽さはピカイチです。
中国でVPNを有料契約したくない方は、とりあえずこのVPNを使ってみるのもいいかもしれません。ただし、この「無料」という手軽さの裏には、知っておくべきいくつかの注意点があります。
- 利用する上で知っておきたいこと:
- 運営者が誰だかわからない: 無料VPNによくある話ですが、運営会社の実態がはっきりしません。公式サイトはなく、アプリストアの提供元名も時々変わることがあるため、誰が僕たちの通信データを管理しているのかが不透明です。
- セキュリティのリスク: どんな暗号化技術を使っているのか、プライバシーポリシーはどうなっているのか、といった情報が公開されていません。ポリシーには「例外的にユーザー情報を収集する場合がある」と書かれていますが、その「例外」がどんな時なのかが明確ではないため、個人情報やパスワードを扱うような重要な通信には注意が必要です。
- 接続の不安定さと広告: 多くのユーザーレビューで報告されているように、接続が10分〜30分おきに切れることがあります。また、無料サービスなので広告が表示されるのは仕方ない部分です。
- どう付き合うか?: VPNネコは、その手軽さから緊急時には非常に役立ちます。しかし、セキュリティ面での不透明さは無視できません。SNSを少しチェックしたり、機密性の低い情報を閲覧したりする程度なら便利な選択肢ですが、オンラインショッピングの決済情報や大事なパスワードを入力するような通信での利用は、慎重に判断した方が良いでしょう。リスクを理解した上で、用途を限定して賢く使うのがおすすめです。
留学生の間で話題?僕が今使っている「NTHU.CC」VPN
さて、ここからがこの記事の核心です。僕が今メインで使っているのが、この「NTHU.CC」です。
これは中国に留学中、同級生のマレーシア人におすすめされて使い始めたのがきっかけです。ExpressVPNやカベネコVPNのような有名なサービスとは少し違う、いわば「知る人ぞ知る」選択肢。その実態とリアルな使い心地を、正直にレビューしていきます。
1. NTHU.CCのリアルな使い心地
正直に言うと、NTHU.CCは繋がりやすいわけではなく、ネットワークが不安定な時も多いです。それでも僕がこのVPNをおすすめする理由は、なんといってもその価格の安さです。僕が使っている月額9.9元のプランは、毎月100GBまでの使用制限はありますが、この値段でネットが使えるなら十分満足しています。
- ちょっとマニアックな設定方法: NTHU.CCの使い方は、普通のVPNと少し違います。iOSなら「Shadowrocket」、パソコンだと「Clash X」といった外部のアプリやソフトを経由して接続する必要があります 。
- 設定は意外と簡単: 専門アプリが必要と聞くと難しそうですが、心配いりません。アプリさえダウンロードしてしまえば、あとはNTHU.CCのサイトからワンクリックで設定情報をインポートできるので、実はすごく簡単です。
- 消える公式サイト: NTHU.CCの公式サイトのURLは、GFWにブロックされるたびに変わります。今はNTHU.CCが有効なドメインです。これは欠陥ではなく、GFWから逃げ続けるための、彼らなりの生存戦略なのです。

たまにウェブサイトが消えて接続できなくなるので焦ります笑
2. リスクを理解して使うのが大事
NTHU.CCのようなサービスは、その安さと引き換えに、正規のVPNにはない特有のリスクを伴います。もし試してみるなら、これらのリスクを必ず理解しておいてください。
- メリット(リターン):
- 圧倒的な価格の安さ: なんと言っても最大の魅力はその価格です。月額9.9元からというプランは、他の有料VPNでは考えられない安さです。
- GFWに強い場合がある:大手VPNが規制のターゲットになりやすい中で、小規模なサービスは監視の目から逃れやすく、大手が一斉にダウンしている時でも繋がることがあります。
- デメリット(リスク):
- 接続が不安定: ネットワークは不安定なことが多く、繋がらないことも頻繁にあります。安定性を求める人には向きません。
- セキュリティ・プライバシーは保証ゼロ: 最大のリスクです。運営者はおそらく中国の方ですが、誰なのか分からず、あなたの通信記録がどう扱われているのか、知る由もありません。ノーログポリシーなんてものは存在しないと考えた方がいいでしょう。パスワードなどの重要な情報を扱う通信には使うべきではありません。
- いつ消えるかわからない: 個人運営なので、ある日突然サービスが終了する可能性があります。もちろん、お金は返ってきません。
- 法的なグレーゾーン: 中国の法律では認可されていないサービスであり、利用は自己責任の世界です。
結論として、NTHU.CCのようなサービスは、GFWを回避するための強力な武器になり得ますが、それは同時にある程度のリスクがあります。ぼくはNTHU.CCの性能と価格に満足して、現在使っていますが、誰にでもおすすめできるVPNではありません。もし使うのであれば、これらのリスクを十分に理解した上で、あくまで自己責任で、というのが僕からの正直なアドバイスです。
安全に壁を越えるために:法律、自己防衛、そしてバックアッププラン
中国でVPNを使うなら、技術的なことだけでなく、法律や安全についても知っておく必要があります。また、VPNがダメだった時のための「保険」も大事です。
1. VPNと法律:実際のところ、使っていいの?
中国でのVPNの法的な扱いは、一言で言うと「グレーゾーン」です。
- 法律が罰するのは誰?: 中国の法律が主にターゲットにしているのは、政府の許可なくVPNサービスを「提供・販売する側」です。僕たちのような個人ユーザーが罰せられることは、今のところ一般的ではありません。多くの留学生や駐在員が日常的に使っているのが現実です。
- でも、注意は必要: だからといって、何でもOKというわけではありません。一番やってはいけないのは、WeChatのような監視の厳しいアプリで「VPN」や「壁越え(翻墙)」といった言葉を使って、VPNの売買や設定の話をすることです。これらの単語は検閲対象で、アカウントに目をつけられる可能性があります。VPNに関する話は、もっと安全なアプリでするのが賢明です。
2. 新しいリスク:「反スパイ法」とスマホのセキュリティ
最近、中国では国家安全に関する新しい法律(反スパイ法)が施行され、僕たち外国人にも少し影響があるかもしれません。
- 反スパイ法って?: 2023年に改正されたこの法律で、国の安全を守る担当者の権限が強化されました。理論上は、個人のスマホやPCの中身を検査する権限も含まれています。
- 「スマホ検査」は本当にある?: 入国時などに、警察官にスマホの中身を見せるよう言われた、という話も実際に報告されています。ただ、これが留学生に対して無差別に、頻繁に行われているわけではありません。余程変なことをしなければ大丈夫です。
- 僕たちができる対策: 難しいことではありません。まず、中国で使うスマホには、政治的にデリケートな写真や文章は保存しないこと。特に、軍事施設や政府の建物の近くでの写真撮影は注意が必要です。そして、スマホには必ず強力なパスワードをかけておきましょう。
3. VPNがなくても大丈夫!いざという時のバックアッププラン
「VPNが全部繋がらなくなった!詰んだ…」となる前に、こんなバックアッププランを用意しておくと安心です。
- 国際ローミング(楽天モバイル、ahamoなど): 日本のSIMカードのまま、中国でデータ通信を使う方法です。この通信は日本の通信会社を経由するので、GFWの影響を受けません。つまり、VPNなしでGoogleもLINEも使えます。ドコモのahamoなら、追加料金なしで海外で使えるデータ容量(月20GB)があるので、短期滞在やVPNの不調時にめちゃくちゃ便利です。
- 香港SIMカード: アマゾンなどで売られている香港のSIMカードも、国際ローミングと同じ理屈でGFWを回避できます。中国本土でこのSIMを使うと、香港経由でネットに繋がるため、GoogleマップやSNSが自由に使えるようになります。
これらの方法はVPNより設定が簡単で確実ですが、データ通信料は割高になることが多いです。自分の使い方に合わせて、VPNと賢く組み合わせるのが最強と言えるでしょう。
結論:結局、僕たち留学生はどのVPNを選ぶべきか?
さて、長々と僕のVPN奮闘記、およびレビューにお付き合いいただき、ありがとうございました。ExpressVPNでの挫折から始まり、カベネコVPNという相棒を見つけ、VPNネコの罠を知り、そしてNTHU.CCという知る人ぞ知るVPNに辿り着きました。
この経験を通して、僕がたどり着いた結論。それは、「すべての人にとって完璧なVPNは存在しない。でも、あなたの状況に合った『正解』は必ずある」ということです。
ぼくは現在NTHU.CCを使っていますが、リスクもゼロではないので全員におすすめできるわけではありません。ですが、僕の経験から見えた、信頼できる最終的なオススメをここに記します。

自分に合ったVPNを選ぼう!
1. あなたのタイプ別・最終提言
- 【安定と安心が第一!な慎重派のあなたへ】 → カベネコVPN中国での接続実績が豊富で、とにかく安定しているのが魅力です。何かあっても日本語で手厚いサポートを受けられる安心感は、何物にも代えがたいです。特に、VPN初心者や、ネットのトラブルで時間を無駄にしたくない人には、間違いなくベストな選択肢です。
- 【短期滞在や、とにかく簡単な方法がいいあなたへ】 → ahamoや楽天モバイルなどの国際ローミング設定不要で、中国に着いた瞬間から日本のスマホと同じようにネットが使える手軽さは最強です。コストはかかりますが、数週間の旅行や出張、あるいはVPNのバックアップとしては、これ以上ないほど頼りになります。
- 【とにかく安さ最優先!のあなたへ】 → NTHU.CC+ 無料体験の活用やはり、月額300円以下でVPNを利用できるNTHU.CCは、コストパフォーマンスの点で際立っています。あまり中国国外のSNSは見ない方、節約したい学生にはオススメです。しかし、一定のリスクがあることも覚えておきましょう。
2. 最後に
中国での留学生活は、刺激的で、日本では得られない貴重な経験の連続です。その素晴らしい時間を、ネットのストレスで台無しにしてしまうのは、本当にもったいない。
この記事が、あなたのVPN選びの羅針盤となり、少しでも快適な留学ライフを送る手助けになれば、嬉しいです。
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