【中国留学】住民票、抜く?残す?経験者が語る手続き・税金・年金のリアル

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北京外国語大学 国際経済与貿易学部3年。21歳純日本人、中国政府奨学生。

学生会会長や大学の広報大使として、イベント企画・SNS運営・国際交流活動を行う傍ら、コンサルティング会社で市場調査やデータ分析を経験。

日本語・中国語・英語を使いこなし、中国留学に関する体験談や現地情報を発信中。SNSにて、留学に関する相談も受け付けています。

小南 朋輝(Kominami Tomoki)をフォローする

こんにちは、トモキです!
中国留学準備で最も重要な決断の一つが「住民票をどうするか」。軽く考えがちですが、この選択が留学生活の経済状況や健康を大きく左右します。

結論から言うと、この問題に万能の正解はありません

住民票を日本から抜けば(これを「海外転出届を出す」と言います)、国民健康保険料や国民年金、翌年からの住民税を支払う必要がなくなり、年間で数十万円の支出を減らすことができる可能性があります。これは大きな金額です。しかしその代わり、日本の公的な健康保険が使えなくなったり、新しいクレジットカードが作れなくなったりと、重要なデメリットも伴います。

逆に、住民票を残しておけば、日本にいる時と同じように公的なサービスは利用できますが、留学中も保険料や税金を支払い続けなければなりません。

この記事では、僕自身の失敗談を元に、皆さんが最適な選択ができるよう、複雑なルールを分かりやすく解説します!少しでも、これから中国・海外留学に行く方の参考になれば嬉しいです!

住民票に関する規定や法律は随時変更になる可能性があります。こちらの記事のみでなく、ご自身でも最新情報をチェックしてください!この記事は住民票手続きに関するすべての結果に対して責任を負いかねます。

なぜ「住民票」がこれほど重要なのか?

1. 住民票とは?単なる住所録ではない、日本の公的サービスの基盤

「住民票」と聞くと、多くの人が「自分の住所の記録」と考えるかもしれません。それは間違いではありませんが、日本の行政システムにおいて、住民票はあなたが公的サービスを受けるための基盤となる、非常に重要なものなのです。

あなたの住民票が特定の市区町村に登録されていることで、以下のサービスを受けたり、義務を負ったりします。

  • 国民健康保険への加入:病院での医療費が原則3割負担になる制度です。
  • 国民年金への加入:将来の年金制度の基礎となる部分です。
  • 住民税の支払い:住んでいる自治体に納める税金です。
  • その他の行政サービス:図書館の利用、選挙への参加、印鑑証明書の発行など、多くが住民票を基にしています。

つまり、住民票はあなたが「その自治体の住民である」という公的な証明であり、それによって日本国民としての多くの権利と義務が発生するわけです。

ちなみに、「戸籍」と混同されがちですが、これは全く別のものです。「戸籍」は親子関係や結婚といった身分関係を証明するもので、留学で家族関係が変わるわけではないので、戸籍に関する手続きは一切不要です。留学で考えるべきは、住所に関わる「住民票」だけと覚えておきましょう。

2. 「1年ルール」:海外転出届を出すかどうかの基本的な判断基準

では、どのような場合に住民票を抜く手続き(海外転出届)をすべきなのでしょうか。その基本となるのが、法律で定められている通称「1年ルール」です。

これは、「海外に1年以上滞在する予定の場合は、原則として海外転出届を提出する必要がある」というルールです。大学の4年間の正規留学や、1年間の交換留学もこれに該当します。

逆に、夏休みを利用した短期留学など、滞在が1年未満の場合は、海外転出届を出す必要はありません。自治体によっては「半年以上なら受理します」という場合もありますが、基本は「1年以上」が判断基準です。

3. もう一歩進んだ知識:税法上の「居住者」と「非居住者」という視点

「1年ルール」に従って住民票を抜くと、あなたは行政上「非居住者(日本に住んでいない人)」となります。しかし、ここで少し複雑ですが非常に重要な概念があります。それが、税法上の「居住者」と「非居住者」という区分です。

税務署が個人の納税義務を判断する際には、住民票の有無以上に、「その人の生活の本拠(生活の中心地)はどこか」という、より実質的な基準で見ます。住民票は、その判断材料の一つに過ぎません。税務署は、住民票の記録だけでなく、以下のような客観的な事実を総合的に見て判断します。

  • 海外での滞在日数
  • どこで学び、働いているか
  • 家族はどこに住んでいるか
  • 資産はどこにあるか

これが何を意味するかというと、例えば2年間の留学なのに、一時帰国時の保険利用を考えて意図的に住民票を日本に残したとします。行政上の手続きでは「住民」のままです。しかし、客観的に見れば、あなたの生活の中心は大学があり寮で暮らしている北京です。

もし、あなたが日本に住んでいること(居住者)を前提とした税制上の優遇措置などを利用していた場合、後から税務署に「あなたは実質的に非居住者でした」と判断され、追加で税金を課されるリスクもゼロではありません。

つまり、住民票は強力な証明ですが、絶対的なものではないということです。書類上の形式よりも「生活の実態」が重視される場合がある、ということを頭の片隅に置いておきましょう。

しかし、実際に地元の市役所の方に確認したところ、長期留学は一時帰国も含むので、「最終的には自身がどの国に住民票を置きたいか」で海外転出届をするかどうか決めていいらしいです!

トモキ
トモキ

最終的には個人の判断に委ねているらしい…

「住民票を抜く」vs「残す」どちらを選ぶべきか

ここからがこの記事の核心部分です。あなたが自身の状況に合わせて最適な決断を下せるよう、「住民票を抜く」場合と「残す」場合のメリット・デメリットを、あらゆる角度から比較・分析します。

1. 住民票「抜く」vs「残す」メリット・デメリット比較

項目選択肢1:住民票を抜く(海外転出届を出す)選択肢2:住民票を残す
国民健康保険メリット:保険料の支払い義務がなくなる。
デメリット:日本の公的医療保険の資格を失う。一時帰国中に病院にかかると医療費は100%自己負担になる。
メリット:保険資格は維持されるが、利用できるのは手続きが複雑な「海外療養費制度」のみ。
デメリット:留学中も保険料を支払い続けなければならない。
国民年金メリット:年金の支払い義務がなくなる。
デメリット:将来受け取る年金額が減る。これを避けるには「任意加入」して支払いを続ける必要がある。
メリット:払い続ければ将来の年金額は減らない。
デメリット:保険料の支払い義務が続く(海外大学生は「学生納付特例制度」が利用できない)。
住民税メリット:12月31日より前に出国すれば、翌年の住民税は課税されない。
デメリット:出国する年に納税義務が残っている場合、出国前に全額納付するか、代理人(納税管理人)を指定する必要がある。
メリット:前年に所得がなければ手続きは簡単。
デメリット:前年に所得があれば、海外にいても納税義務は継続する。
金融サービス (銀行・クレカ)メリット:なし。
デメリット新しいクレジットカードは発行できない。既存カードの更新も困難になる。
メリット:銀行口座やクレジットカードは今まで通り利用できる。新規発行や更新も問題ない。
デメリット:なし。
マイナンバーカードメリット:出国前に手続きをすれば、海外でも身分証明書として利用可能。
デメリット:役所で特別な手続きが必要。忘れるとカードが失効する。
メリット:特別な手続きなしで、有効な状態が維持される。
デメリット:なし。
家族の扶養メリット:なし。
デメリット:親の税法上の扶養控除や、健康保険の被扶養者の資格を失うリスクがある。
メリット:扶養の資格を維持しやすい。親の税負担が軽減され、家族全体にとって利益になる場合がある。 デメリット:なし。

2. ⚠️要注意!あなたの負担軽減が、親の負担増につながる可能性

この比較表の中でも、学生の皆さんにとって特に注意してほしいのが「家族の扶養」の項目です。住民票を抜くという決断は、あなた個人の問題だけでなく、家族全体の家計に関わる重要な決定です。あなたが保険料の支払いを免れた結果、かえって家族全体の支出が増えてしまうという事態も起こり得ます。

あなたの負担が減る金額 vs 家族の新たな負担額

具体的な数字で考えてみましょう。

あなたが住民票を抜くと、まず国民年金の支払いが不要になります。現在の保険料は月額約1.7万円なので、年間で約20.4万円の支出を減らすことができます。

しかし、ここからが重要です。 多くの学生は、親の税法上の「扶養親族」であり、また親が加入する会社の健康保険の「被扶養者」になっています。これらの資格を維持するには、「生計を一つにしていること」や「日本国内に居住していること(住民票があること)」が条件の場合が多いのです。あなたが住民票を抜くと、これらの条件を満たさなくなり、扶養から外れてしまう可能性があります。

もし税法上の扶養から外れると、親の所得税や住民税の計算で適用されていた「扶養控除」が使えなくなり、親の納税額が年間で数万円から十数万円増加する可能性があります。

では、具体的にどれくらい増えるのでしょうか?いくつかの家族モデルで試算してみましょう。

【ケーススタディで見る】家族の税負担はこう変わる

《ケース1:4人家族(兄妹あり)/お父さんの年収480万円の場合》

  • 家族構成: 父(年収480万円)、母(パート)、あなた(20歳)、弟(18歳)
  • あなたが扶養から抜けることで増えるお父さんの年間税額は…
    • 所得税:約31,500円
    • 住民税:45,000円
    • 合計:年間 約76,500円 の負担増

《ケース2:3人家族(一人っ子)/お父さんの年収600万円の場合》

  • 家族構成: 父(年収600万円)、母(パート)、あなた(20歳・一人っ子)
  • あなたが扶養から抜けることで増えるお父さんの年間税額は…
    • 所得税:63,000円
    • 住民税:45,000円
    • 合計:年間 108,000円 の負担増

このように、所得税と住民税のみに着目すると、ご家庭の状況によっては年間で8万円から11万円近くの税負担が新たに発生することがわかります。

さらに、健康保険の扶養から外れた場合、あなたは日本の公的医療保険の資格を完全に失います。
留学中の万が一に備えて、民間の海外留学保険への加入をおすすめします!病気などをした場合は自己責任になります。

もちろん、これは一例です。しかし、「自身の負担が減る金額」と「家族の負担増」を天秤にかけるという視点は不可欠です。住民票をどうするか決める前に、必ず保護者の方とご自身の家庭状況に合わせた具体的な数字を念頭に話し合い、家族にとって最も合理的な選択をすることが極めて重要です。

「住民票を抜く」場合の具体的な手続き

留学期間の長さや経済的なメリットを考慮し、「住民票を抜く」と決めた場合、周到な準備が必要です。ここでは、そのための具体的なステップを解説します。

1. 海外転出届の提出方法

すべての手続きは、この「海外転出届」の提出から始まります。

  • いつ?:出国予定日の14日前から出国日当日までに提出するのが原則です。出国後に郵送で提出することも可能ですが、手続きが煩雑になり、遅れると法律に基づき最大5万円の過料が科される可能性もあるため、必ず出国前に済ませましょう。
  • どこで?:現在、住民票を置いている市区町村の役所です。
  • 何を持っていく?:自治体によって多少の違いはありますが、一般的に以下のものが必要です。
    • 住民異動届:役所の窓口に備え付けられています。ウェブサイトからダウンロードできる自治体もあります。
    • 本人確認書類:パスポート、運転免許証、マイナンバーカードなど、顔写真付きの公的な身分証明書です。
    • マイナンバーカード:後述する重要な手続きに必須です。必ず持参してください。
    • 国民健康保険被保険者証(保険証):加入している場合、この場で返納します。
    • 委任状:あなた本人ではなく、家族などが代理で手続きを行う場合に必要です。

2. 届出後に続く、関連手続きの管理

海外転出届を提出すると、それをきっかけに、様々な制度で手続きが必要になります。役所の担当者が案内してくれますが、自分でも全体像を把握しておくことが重要です。

国民健康保険

海外転出届を提出すると、国民健康保険の資格は出国日をもって喪失となり、翌月分からの保険料の支払い義務はなくなります。窓口で保険証を返納し、もし未払いの保険料があれば、その場で精算方法について案内されます。

マイナンバーカード

【🚨超重要!2024年からの新ルール!🚨】

これは非常に重要な変更点です。以前は海外に転出するとマイナンバーカードは失効し、返納する必要がありました。しかし、2024年5月27日から制度が変わり、海外でも継続して利用できるようになりました 30。

そのための手続きが継続利用手続きです。海外転出届を提出する際に、窓口で「マイナンバーカードの継続利用を希望します」と明確に伝えなければなりません。そうすると、職員がカード情報を更新し、券面に「国外転出」と転出日を追記して返却してくれます。

【⚠️最重要警告⚠️】:この継続利用手続きを出国予定日の前日までに行わずに日本を出国してしまうと、あなたのマイナンバーカードは出国予定日をもって失効してしまいます。一度失効すると、海外からの再発行は非常に手間がかかるため、絶対に忘れないでください。

国民年金

海外転出届を出すと、国民年金の強制加入の対象ではなくなります。これに伴い、あなたは以下の2つの選択肢のどちらかを選ぶことになります。

  1. 何もしない(「カラ期間」を受け入れる)
    この選択をした場合、海外にいる期間は保険料を支払う必要はありません。この未納付期間は「カラ期間(合算対象期間)」と呼ばれます。この期間は、将来年金を受け取るために最低限必要な加入期間(現在は10年)には算入されますが、将来受け取る年金額の計算には反映されません。つまり、カラ期間が長ければ長いほど、あなたの老齢基礎年金は減額されることになります。
  2. 任意加入制度を利用する
    将来の年金額を減らしたくない場合は、「任意加入」の手続きをすることで、海外在住中も国民年金保険料を納め続けることができます。これは、あくまで「任意」です。手続きは、海外転出届を出す際に年金の窓口で行います。支払い方法は、日本国内の銀行口座からの自動引き落としが基本となるため、事前に口座振替の手続きを済ませておくか、日本国内に住む家族などに「国内協力者」として納付書の受け取りや支払いを代行してもらう必要があります。

住民税

住民税のルールは「1月1日時点で日本に住民票があるか」で、その年の納税義務が決まるという「1月1日基準」です。

具体例で見てみましょう。

  • ケースA:あなたが2025年中にアルバイトで所得を得て、2025年12月30日に中国へ出国(海外転出届を提出)したとします。
    • 2026年1月1日時点で、あなたの住民票は日本にありません。そのため、2025年の所得に対する住民税(2026年6月頃に請求が来るもの)の納税義務は発生しません
  • ケースB:同じ状況で、出国日が2026年1月2日だったとします。
    • 2026年1月1日時点では、あなたの住民票はまだ日本にあります。そのため、たとえ翌日に出国したとしても、2025年の所得に対する住民税の納税義務は発生します

もしケースBのように、出国後も納税義務が残る場合は、出国前に「納税管理人(のうぜいかんりにん)」を指定する届出を役所に提出する必要があります。納税管理人には、通常、日本に住む親族になってもらいます。そうすることで、あなた宛ての納税通知書が納税管理人に送付され、その人があなたに代わって納税手続きを行ってくれます。この手続きを怠ると、知らないうちに滞納扱いとなり、延滞金が加算される恐れがあるため、必ず手続きをしてください。

3. 法的な現実:短期の転出・転入を繰り返すべきではない理由

ここで、僕自身の経験からお伝えしたいことがあります。一時帰国中に日本の健康保険を使いたいと考え、一度住民票を戻し、またすぐに出国する際に抜こうと計画したことがありました。しかし、これは法的に不適切であり、実務上も多くのデメリットがあるため、絶対に避けるべきです。

市役所の担当者から「短期間での転出・転入を繰り返すと、脱税などを疑われ、法的な問題に発展する可能性がある」と指摘を受けました。住民基本台帳法は、個人の生活の本拠を記録するための制度です。1ヶ月程度の短期滞在は、法律が想定する「生活の本拠の移動」には該当しません。

このような行為が問題となる理由は、まず、役所の窓口で手続きの受付自体を断られる可能性があることです。また、もし受理されたとしても、そのたびに健康保険や年金の資格を喪失・再加入することになり、記録の管理が非常に煩雑になります。

そして最も大きなリスクは、税務当局からの監視です。不自然な転出・転入の記録は「租税回避行為の疑い」と見なされかねません。調査の結果、生活実態が日本にあると判断されれば、過去に遡って住民税や延滞金を課される可能性もあります。短期的な利益のために、これほど大きなリスクを冒すことは合理的ではありません。

金融サービス(銀行・クレジットカード)に関する注意点

住民票を抜いて「非居住者」となった学生が直面する、最も現実的で深刻な問題の一つが、金融サービスの利用制限です。特にクレジットカードに関する制約は、留学生活の利便性を大きく損なう可能性があるため、正確な理解が不可欠です。

1. 日本の銀行口座の取り扱い

僕は、現在住信SBIネット銀行と三井住友銀行、三菱UFJ銀行の口座を持っていますが、海外転出届提出後もVPNを通して中国から正常に使用できています。証券口座など新規口座の開設は制限されている状態です。現在まで特に問題が発生していないので、多くに方にとって特別な手続きは必要ないと思いますが、以下にネットに書かれていた情報をまとめておきます!

  • ネット銀行・新興銀行:原則として日本国内の居住者のみをサービス対象としているため、非居住者になる場合は口座を解約するよう規約で定められていることがほとんどです。
  • メガバンク:非居住者向けの特別なサービス(有料の場合が多い)を提供しています。これに申し込むことで、送金など一部の機能に限定されますが、口座を維持することが可能です。ただし、これらの手続きは必ず出国前に済ませておく必要があります。
  • 比較的柔軟な銀行:所定の届け出を行えば、多くのサービスを引き続き利用できる場合があります。ただし、日本国内の連絡先となる人物の登録を求められることが多いです。

2. クレジットカード:新規発行と更新の問題

このセクションは、あなたが質問で特に懸念していた点への直接的な回答となります。

【絶対的なルール】:住民票を抜き、法的に「非居住者」となった場合、日本のクレジットカード会社に新しいクレジットカードを申し込んでも、審査に通過することはありません。これは、カード会社が法律に基づき本人確認を行う際に、日本国内の現住所が確認できないためです。

しかし、問題は新規発行だけではありません。より深刻なのは、既存カードの更新です。

クレジットカードの有効期限は、通常3年から5年です。長期の留学を計画している場合、現在持っているカードの有効期限が留学中に切れる可能性は非常に高いと言えます。

更新された新しいカードは、カード会社に登録されている日本国内の住所宛に、「本人限定受取郵便」などで郵送されます。これらは原則として名義人本人でなければ受け取れず、郵便局の転送サービスも適用されないことがほとんどです。

一部のカードでは海外の住所へ更新カードを発送してくれる例外的なケースもありますが、一般的ではありません。

このクレジットカードの更新問題は、多くの長期留学生が見落としがちなポイントです。
中国ではキャッシュレス決済が主流ですが、その決済アプリにチャージするための元となるクレジットカードがなければ、生活が非常に不便になります。

したがって、住民票を抜くと決めた学生が取るべき最善の行動は、以下の通りです。

「出国前に、現在所有しているすべてのクレジットカードの有効期限を確認する。もし留学予定期間中に有効期限が切れるカードがあれば、海外転出届を出す前にカード会社に連絡し、『早期更新』が可能かどうかを相談する。そして、更新が不可能なカードについては、留学中に使えなくなることを前提とした資金計画を立てる。」

この事前の確認と計画が、海外での金融トラブルを防ぐために非常に重要です。

帰国時の手続き:一時帰国と本帰国

留学生活には、夏休みなどを利用した「一時帰国」と、学業を終えてからの「本帰国」があります。住民票を抜いている場合、この二つの帰国では手続きが全く異なります。

1. 一時帰国:医療保険の空白期間への備え

住民票を抜いているあなたが日本に一時帰国する際、法的な身分は「海外に住む日本人」であり、外国人観光客とほぼ同じです。したがって、日本国内での国民健康保険は適用されません。もしこの期間に病院にかかれば、医療費はすべて10割負担となります。

トモキ
トモキ

市販薬で対応するしかなくなります!ここは注意!

2. 本帰国:日本での生活を再開する手続き

すべての課程を終え、日本に生活の拠点を戻す「本帰国」の際には、再び日本の住民として登録するための手続きが必要です。

帰国後、新しい住所地を定めた日から14日以内に、その市区町村の役所で転入届を提出します。これが、あなたの日本での生活を再開するための公式な第一歩です。

その際に必要となる、特に重要な書類は以下の通りです。

  • パスポート:あなたがいつ日本に帰国したかを証明する公的な証拠となります。空港の自動化ゲートを利用した場合、パスポートに入国のスタンプが押されません。その場合は、ゲート通過後に必ず入国審査官に申し出て、スタンプを押してもらってください。スタンプがない場合は、帰国便の航空券の半券など、帰国日を証明できる他の書類の提出を求められることがあります。
  • マイナンバーカード:継続利用手続きをして、有効な状態のカードを持っている場合は持参します。
  • 戸籍謄本および戸籍の附票:本籍地以外の市区町村に転入する場合などに、提出を求められることがあります。事前に転入先の役所に必要書類を確認しておくとスムーズです。

この転入届が受理されると、あなたは再びその自治体の住民となります。そして、国民健康保険への再加入、国民年金の第1号被保険者としての再登録手続きを、同じ役所内の担当窓口で行うことになります。

結論:あなたのための戦略的選択と最終チェックリスト

ここまで、中国留学における住民票の扱いについて、法律、税金、社会保障、金融サービスといった多角的な視点から詳細に解説してきました。最終的なあなたの決断は、以下の4つのシンプルな問いに対する答えを整理することで、自ずと見えてくるはずです。

1. あなたの決断を導く4つの質問

  1. 留学期間は?:あなたの留学は、明確に「1年以上」ですか、それとも「1年未満」ですか?これが最も基本的な分岐点です。
  2. あなたの経済状況は?:日本を出国する前年に、住民税が発生するほどの所得がありましたか?
  3. あなたの家族の状況は?:あなたは現在、親の扶養に入っていますか?住民票を抜くことによる家族全体の経済的影響について、保護者と話し合いましたか?
  4. あなたの将来計画は?:留学中に、日本で新しいクレジットカードを作ったり、銀行口座を開設したりする必要性はありますか?

これらの問いに一つひとつ答えていくことで、あなたにとって「住民票を抜く」ことのメリットがデメリットを上回るのか、それとも「残す」方が賢明なのか、その輪郭がはっきりと浮かび上がってくるでしょう。

2. 出国前・最終チェックリスト

最後に、あなたの決断を具体的な行動に移すための、最終チェックリストを用意しました。どちらの道を選ぶにせよ、このリストに従って準備を進めれば、安心して日本を旅立つことができるはずです。

【住民票を「抜く」と決めたあなたへ】

  • 家族会議:扶養資格への影響と、家族全体の経済的負担について保護者と話し合い、合意を得る。
  • クレジットカード確認:所有する全カードの有効期限を確認し、留学中に期限が切れるものについては、カード会社に早期更新を相談する。
  • 役所手続き:「海外転出届」を提出し、その場で必ず「マイナンバーカードの継続利用手続き」を申請する。
  • 保険証返納:国民健康保険の保険証を返納する。
  • 年金選択:国民年金を「任意加入」して支払いを続けるか、何もしないで「カラ期間」とするかを決定し、必要であれば手続きを行う。
  • 納税管理人:出国後に納税義務が残る場合は、「納税管理人」の指定届を提出する。
  • 銀行手続き:利用している各銀行に連絡し、口座を解約するか、非居住者向けサービスに切り替える手続きを行う。

【住民票を「残す」と決めたあなたへ】

  • 年金手続き:日本の大学に在籍している場合は、国民年金の「学生納付特例制度」を申請し、保険料の支払猶予を受ける。
  • 支払い準備:国民健康保険料や住民税(該当する場合)の支払いのために、口座振替を設定するか、家族に代理納付を依頼する。
  • カード会社連絡:クレジットカード会社に、一時的に海外に滞在する旨と、緊急連絡先を伝えておくと、不正利用検知などの際にスムーズ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。手続きは確かに複雑ですが、一つひとつ着実に準備を進めれば、決して乗り越えられない壁ではありません。そして、最後に最も重要なアドバイスを。

この記事は一般的な情報を提供するものですが、最終的な手続きの詳細は、あなたの状況やお住まいの自治体によって異なります。もし何か少しでも疑問や不安な点があれば、必ずあなたがお住まいの市区町村役場の担当窓口に直接相談してください。彼らこそが、あなたのケースにおける専門家です。

万全の準備を整え、素晴らしい中国留学を実現されることを、心から応援しています!

中国留学に関して質問・相談等あれば、ぜひ気軽に僕のSNSに連絡してください!

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