こんにちは、トモキです!
実は高校時代は軽音部に所属していて、毎日邦ロックばかり聴いていた僕ですが、中国に来てからしばらくはライブハウスに行く機会がなく、とても寂しい思いをしていました。「中国で日本のバンドを見るなんて無理だ」と勝手に思い込んでいたのです。
しかし、実は今の中国、特に上海、北京、広州などの大都市は、驚くほどライブ文化が盛り上がっています。そして何より、日本のアーティストを日本よりも近い距離で見られる絶好のチャンスがあるのです。実際に僕自身、北京で羊文学やカネコアヤノのライブに行き、その近さと熱量に感動しました。
この記事では、現在中国に留学中、あるいはこれから留学する学生の皆さんに向けて、中国でライブチケットを確実に手に入れる方法を網羅的に解説します。
なぜ今、中国でライブに行くべきなのか?

1. 爆発的に盛り上がるエンタメ市場
2023年以降、中国のライブ市場はものすごい勢いで回復しています。スタジアムクラスの大きなコンサートから、地下の小さなライブハウスまで、あらゆる規模のイベントが開催されており、チケットの売上も記録的な数字になっています。
特に上海や北京だけでなく、成都や杭州といった都市でも週末ごとに音楽フェスが開かれており、現地の若者たちの最大の遊び場になっています。現地の学生と仲良くなりたければ、ライブハウスに行くのが一番の近道かもしれません。
2. 日本人留学生だけの特権:物理的な距離の近さ
留学生の皆さんに知ってほしい最大のメリットは、「日本ではチケットが取れないアーティストを、中国なら見られるかもしれない」という点です。
RADWIMPS、King Gnu、One OK Rock、YOASOBIといった、日本ならドームやスタジアム即完売のアーティストたちが、続々と中国ツアーを行っています。
ここで重要なのは会場の規模です。中国の会場は、たとえアリーナクラスであっても、日本のドームに比べればステージとの距離が近いです。さらに、数百人から千人規模のライブハウスで公演を行うこともあります。日本なら豆粒くらいにしか見えないアーティストが、すぐ目の前で見られる可能性があるのです。
ただし、チケットを買うためのシステムは日本と全く異なります。ここからは、その具体的な攻略法を解説します。
最初の難関:「実名制」を理解する

1. チケット購入には「身分証明書」が必須
中国でチケットを買う時、絶対に避けて通れないのが「実名制(实名认证)」です。これは、チケットを買う時と会場に入る時に、身分証明書の情報を登録・照合する制度です。転売を防ぐために非常に厳しく管理されています。
| 認証レベル | 内容 | 留学生への影響 |
|---|---|---|
| 弱実名 | 購入時にID入力が必要ですが、入場時のチェックはQRコードのみの場合が多いです。 | 比較的簡単です。友達に買ってもらうことも可能です。 |
| 強実名 | 購入時のIDと、入場する人のID(原本)が完全に一致しないと入れません。顔認証ゲートがある場合もあります。 | 非常に厳しいです。必ず自分のパスポートで買わなければならず、他人から譲ってもらったチケットでは絶対に入れません。 |
2. 人気公演は「強実名」が基本
最近の人気アーティストの公演は、ほとんどが「強実名」です。つまり、「チケット1枚につき、1つのID、1人の入場」が徹底されています。
会場の入り口では、「人・証・票」の三点一致が確認されます。中国人の場合は身分証のICチップを使った自動顔認証ゲートを通りますが、外国人(パスポート利用者)は自動ゲートに対応していないため、「人工通道(有人ゲート)」を利用します。スタッフがパスポートの原本とチケットのQRコードを目視で照合し、本人確認を行います。
3. パスポート入力の注意点
留学生の私たちは「パスポート(护照)」を使って登録します。ここでよくあるトラブルが、名前の入力形式です。
「YAMADA TARO」とスペースを空けるのか、「YAMADATARO」と詰めるのか、アプリや公演によって判定が異なります。
おすすめの裏技は、両方のパターンで「観演人」情報を作っておくことです(例:1つ目はスペースあり、2つ目はなし)。こうすれば、いざ購入する時にどちらかが弾かれても、すぐにもう片方を選択できます。
基本的には、パスポートの下部にある機械読み取り部分(MRZ)に記載されている通りの表記に従うのが最も安全ですが、念には念を入れて準備しましょう。
必須のチケットアプリ3選:これさえあれば完璧

中国のチケット市場は、大きく分けて3つのアプリが支配しています。自分の行きたいイベントに合わせて使い分けましょう。
1. Damai (大麦):業界最大手!日本の番号でも登録可能に
Damai(大麦)は、中国でシェアNo.1のアプリです。大型コンサートやスポーツイベントのほとんどは、このアプリで販売されます。
- 留学生へのアドバイス:以前は中国の電話番号が必須でしたが、現在は日本の電話番号(+81)でもSMS認証ができるようになり、日本にいる間から登録可能です!
- 注意点:ただし、SMSが届きにくい場合もあるため、中国に到着して現地のSIMカードを作ったら、登録電話番号を中国の番号(+86)に変更することをおすすめします。
- 事前の準備:アプリ内の「我的(マイページ)」にある「観演人(参加者)」という項目に、自分の名前とパスポート番号を事前に登録しておきましょう。これをやっておかないと、発売開始時に絶対に入力が間に合いません。
2. Maoyan (猫眼):WeChatで完結する便利な存在
Maoyan(猫眼)は、WeChat(微信)との連携が非常に強いプラットフォームです。
- 留学生へのアドバイス:わざわざアプリをダウンロードしなくても、WeChat内の「ミニプログラム(小程序)」で検索して使うのが一番スムーズです。これが留学生にとって最大のメリットです。
- メリット:WeChatですでに実名認証が済んでいる場合、その情報を引き継げるので登録が楽です。また、支払いもWeChat Payでそのまま決済できるので、支払いが遅れてチケットを逃すミスが減ります。
3. ShowStart (秀动):ライブハウス好きなら必須
もしあなたが、J-POPのスタジアム公演だけでなく、現地のバンドや日本のバンドのライブハウスツアーに行きたいなら、ShowStart(秀动)は絶対にインストールしてください。
- 特徴:ライブハウスやクラブイベントに特化しています。RADWIMPSやKing Gnuのような有名バンドでも、会場の規模によってはここで販売されることがあります。
- メリット:外国人に優しい作りになっています。パスポート情報の登録もスムーズですし、チケットは電子QRコードなので、配送トラブルの心配もありません。
- 検索のコツ:アーティスト名は英語だけでなく、中国語名でも検索してみてください。両方で検索しないと出てこない公演があります。
チケット争奪戦(抢票)に勝つための戦略

人気公演のチケットは、発売開始から数秒で売り切れます。これを「抢票(チャンピャオ)」と呼びます。運任せにせず、しっかり準備しましょう。
1. 事前準備が9割
発売時間(大麦では午前10時や午後2時が多い)になってからアプリを開いていては遅いです。
- 情報の事前登録:自分と同行者のパスポート情報を事前にアプリに登録し、間違いがないか3回確認してください。特にパスポート番号の桁数ミスは致命的です。
- 配送先の確認:紙チケットの場合は、確実に受け取れる住所(大学の寮など)を登録し、電話番号も間違いないか確認します。
- 残高チャージ:AlipayやWeChat Payの残高を確認してください。数万円単位の決済になるので、いざという時に残高不足でエラーになると、確保したチケットが取り消されてしまいます。
2. 当日の立ち回り
大学の寮のWiFiは遅いことが多いです。5G回線(モバイルデータ通信)を使いましょう。回線速度が勝負を分けます。
時計アプリを使って、秒単位でカウントダウンを見ながら待機します。
3. 諦めないで!公式の「払い戻し」と「戻りチケット」
発売開始1分で「完売」と表示されても、まだ諦めないでください。
- 戻りチケット(回流票):中国のシステムには「支払い猶予時間(通常5分〜15分)」があります。とりあえずチケットを押さえたけれど支払わなかった人の分が、時間が過ぎると在庫に戻ってきます。発売開始から5分後、10分後、15分後は、リロードを繰り返すべき重要な時間です。
- 公式払い戻し(退票):2023年に文化観光部と公安部が発表した通知により、観客5000人以上の大型公演には「段階的払い戻し(梯次退票)」ルールの設定が求められています。具体的な手数料率は公演ごとに異なりますが、「公演の48時間前までなら手数料20%」のように段階的に設定されていることが多いです。万が一予定が合わなくなっても、公式ルートで返金手続きが可能な場合があるので、購入時に退票ルールを必ず確認しましょう。
4. 転売サイト「闲鱼(Xianyu)」のリスク
どうしても取れなかった場合、フリマアプリ「闲鱼」を見る人もいますが、詐欺が非常に多いので注意が必要です。
特に「強実名」の公演は、原則として譲渡できません。出品者が「名前変更可能」と言っていても、本当にできるか怪しいです。公式の払い戻しやリセール制度を利用するのが一番安全であり、怪しい転売屋からの購入は避けるべきです。
日本と全然違う!中国ライブの楽しみ方

無事にチケットが取れたら、いよいよライブ当日です。日本とは文化が大きく違うので、その違いも楽しみましょう。
1. 撮影がOKなことが多い
これが最大のカルチャーショックかもしれません。日本ではライブ中の撮影は厳禁ですが、中国ではスマホでの写真・動画撮影が事実上黙認されている(あるいは許可されている)ことが非常に多いです。
みんなスマホで推しのパフォーマンスを撮影し、SNSにアップしています。一生の思い出を映像として残せるのは嬉しいポイントです。(※ただし、アーティスト側が明確に「撮影禁止」と言う場合もあるので、周囲の状況やアナウンスをよく確認してください)
2. 大合唱が起きる
中国のファンは熱量がすごく、日本語の歌詞を完璧に覚えてきています。バラード曲でも会場全体で大合唱になることがあります。日本の静かに聴くスタイルとは違いますが、会場の一体感は感動的です。
3. 入場は整理番号順だけどアバウト
ShowStartなどで買ったチケットには整理番号がついています。開場前になると並びますが、日本ほどきっちり列を作らないこともあります。
周りの人に「你是多少号?(あなたは何番ですか?)」と積極的に聞いて、自分の場所を見つけましょう。これがきっかけで現地のファンと友達になれることもあります。
4. ドリンクとロッカー事情
- ドリンク:日本のように入場時に強制的にドリンク代を払うシステムは少ないです。飲みたければバーカウンターでWeChat Payで買います。
- ロッカー:会場内にコインロッカーがあることは稀です。入り口付近に預かり所があるか、会場の外にスマホ決済で使えるスマートロッカーがあります。冬でもライブハウスの中は暑いので、アウターは必ず預けましょう。
5. モッシュと「開火車」
激しいロックバンドのライブでは、モッシュが起きます。中国特有のものとして「開火車」という、前の人の肩に手を置いて一列になって、まるで電車ごっこのようにフロアを走り回る行動があります。
激しいのが苦手な場合は、後ろや端の方で見ると安全です。
【体験談】僕が北京で羊文学とカネコアヤノのライブに行った話
ここまで色々と解説してきましたが、最後に僕自身の体験談を紹介します。
羊文学(9月)

9月に北京で羊文学のライブに行きました。チケットは秀动(ShowStart)で購入して、値段は300元くらい。日本円にすると約6,000円です。日本でライブハウスのチケットを買うのとそこまで変わらない価格で、しかも会場は日本と比べるとかなり小さかったので、ステージとの距離がとにかく近い。日本だと整理券を早い番号で引かないとこの距離では見られないだろうな、というくらいの近さで見ることができました。
カネコアヤノ(10月)

翌月の10月にはカネコアヤノのライブにも行きました。こちらも秀动で購入、同じく300元くらいです。カネコアヤノを小さなライブハウスで見られる贅沢さは、中国にいるからこそだと思います。
実際に行ってわかったこと
この2回のライブを通して、記事で書いた内容と実体験で少し違ったところもあったので共有します。
- 入場時のパスポート確認はなかった:どちらの公演も「弱実名」だったようで、入場はアプリ内のQRコードを見せるだけでOKでした。パスポートの提示は求められませんでした。ライブハウス規模の公演では、こういうケースも多いです。ただし、大型公演では強実名の場合があるので、パスポートは念のため必ず持っていきましょう。
- 整理番号がなかった:秀动で買ったチケットですが、整理番号はついていませんでした。入場は完全に早い者順で、開場前から並んだ順に入っていく形です。前の方で見たいなら、早めに会場に着いて並ぶのが大事です。
- 撮影ができた:日本では考えられませんが、みんな普通にスマホで動画を撮っていました。僕も推しのパフォーマンスを動画に残すことができて、今でも見返しています。これは本当に中国ライブの最高なポイントだと思います。
どちらのライブもチケットは秀动で簡単に買えましたし、小さな会場で好きなアーティストを間近に見られる体験は最高でした。中国留学中にライブに行かないのは本当にもったいないです。
最後に:これだけは忘れないで
必ずパスポートの原本を持って行ってください。
「スマホの写真でいいですか?」「コピーでいいですか?」は通用しません。外国人は有人ゲート(人工通道)でスタッフにパスポートの原本を直接提示して本人確認を受ける必要があります。パスポートを忘れると、高額なチケットが無駄になります。
留学生の皆さんが、中国語を駆使してアプリを操作し、現地のファンに混ざってライブを楽しむ。それは教室の中だけでは得られない、素晴らしい異文化体験になるはずです。
ぜひ、恐れずにチャレンジして、中国での音楽ライフを楽しんでください!
